J.S.バッハ 無伴奏パルティータ ルーシー・ファン・ダール


少し前に四枚組みで2000円程度と破格なことから有名になったことと思いますが、遅ればせながら聴いてみました。
演奏はオランダのバロックヴァイオリンで著名な演奏家です。


バロック楽器を使った音楽は淡白で、それはそれでいい味があるので私も好きでしたが、この演奏はどちらかというと、すこし明るめに聴こえました。運弓はバロックぽく聴こえるので、フィンガリングに特徴があるのかな。


エレガントだと感じる演奏です。オランダの演奏家は、いわゆるオランダ大全盛期の名残をまだ残しているのか、装飾が非常に美しいですよね。


今日は外を散歩していたら雪が降ってきて、三月なのになぁと慌てて家に戻りました。コートの雪を落として、コーヒーを入れて一息つき、聴いていました。
雪もすぐに上がり、雲のあいだからさすわずかな光が、カーテンを明るく照らしているなか、体の力を抜いて聴いていると、妙に「納得」してしまいました。モダン以降の煌びやかで、「自省」を強いるようなバッハもいいのですが、古楽器ならではのささやかで、淡白だけれど音の粒がしっかりしている、独特の色を持った音もよいなぁと納得。バッハになるとなんだか、必死になって聴かないと不安になっておりましたが、なるほどこういうふうにからだの力を抜いて聴くのも必要なのですね。


ともあれ、それはいい音楽だからでしょう。好演です。


発売もとのナクソスさんへのリンク。視聴できるようでできないです。残念。
http://www.naxos.co.jp/title.asp?sno=8.504027J&cod=3010