ウォーラーステイン『史的システムとしての資本主義』
もう三月ですね。月間日記という話でもなくなってまいりました。
ウォーラーステインが面白いと言い回ってくれた子のおかげで、私も手に取りました。新版が出てたのですね。ふむふむと新年にかけて読み返したのですが、けっこうおもしろい。
資本主義というシステムは、昨今の世界システムの中ではじめて誕生したものである、という指摘と検討のキレも鋭いけれど、フェミニズムやレイシズムにも関与しているのだというのはすごく面白く読めた。老人を老人として追いやっていくのも資本主義だ、みたいな過程もうーむとうなずいてしまう。五年前ならどうだったろう。
資本主義というものが当然そこにあるけれど、いかなる機能をしているのかということについては、まだまだ考える余地があるのだなぁと寝ぼけたことを考えながら読了。
史的システムとして資本主義が機能しだすことで差別や格差を生み、万物が商品化していく過程で、ある種の不平等ささえも当然として包み込む。狭義な経済の分野に限っても、永続的に資本を蓄積し、生産水準を上げ続けるなんて続けられるわけでもない。
世界の人口の大部分は、客観的にも、主観的にも、もっと以前の史的システムのもとにあった時代と比べて物質的にさえ恵まれていないと思えるし、そればかりか、(…)政治的にもかれらは以前ほどには恵まれていないと信じられるからである。(pp.47-48)
単純に進歩史観への批判以上の重みがあるなぁ・・・
でもウォーラースティンが度々想定している、史的システムとしての資本主義以前・・・というよりは、その資本主義的差別とかがあまり現前してこなかった時代とはいつのことをさしてるのだろう?
もう少しお勉強しなくちゃいけません。
追記:
ビンガムトンのフェルナンブローデルセンター長として、コメント出してるんですね。
教えてくれてどうもありがとう。
http://fbc.binghamton.edu/commentr.htm
- 作者: I.ウォーラーステイン,川北稔
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1997/08/22
- メディア: 単行本
- 購入: 2人 クリック: 62回
- この商品を含むブログ (27件) を見る