村上春樹 『国境の南、太陽の西』

このまえ村上春樹の『ノルウェイの森』を貸してた子が「私は感動しませんでしたー」と言って、軽くショックを受けました。 そうか、今の子は村上春樹で「感動しよう」とするのかと思うと頭がくらくらしました。 なにも、「こう読め、ああ読め」と言いたいわ…

ウォーラーステイン『史的システムとしての資本主義』

もう三月ですね。月間日記という話でもなくなってまいりました。 ウォーラーステインが面白いと言い回ってくれた子のおかげで、私も手に取りました。新版が出てたのですね。ふむふむと新年にかけて読み返したのですが、けっこうおもしろい。 資本主義という…

橘木俊詣編著 斎藤貴男 苅谷剛彦 佐藤俊樹著 『封印される不平等』

二月に読んだ本でおもしろかったもの。 前半が四者の座談会でこれがすごく面白い。立場が違うとほんと見えてるものが違うものですね。後半は橘木氏の論文で、これはちょっとまぶたが重くなる。 で、これを取り上げたのも、今日(05/3/10)、国会中継をせんべ…

須賀敦子 『遠い朝の本たち』

祝!冬休み、なので書斎を整理していると、温もりを感じるシックな装丁の一冊がでてきました。どうやら、1998年から一度も開かれずに本棚に放り込まれていたのでしょう。あのころは忙しかったしなぁ、と思いながら開いてみるとすごく面白く一気に読んでしま…

阿部謹也『日本社会で生きるということ』

このごろ、M・フーコーの『狂気の歴史』というバカ長い本を読んでいる。こういう本は頭からぜんぶ読むんじゃなくて、美味しいところだけをちょこちょこ読むのが上手いやり方だけど、そうもいかなくなった。とっても忙しい。 そういえば、映画についても似た…

廣松渉 『新哲学入門』

この小さな新書が秘めている容積はすごい。本には内容を反映した、文の容積のような物がある。新書というものが、たいいていにおいてあなどれないものであれ、この本の容積はさすが廣松さん、岩波だ、と唸るものがあります。 もちろん、すらすら読める人もい…

 陣内秀信 『東京の空間人類学』

うおー、忙しいシーズン到来である。私なんかまだ暇な方だとはわかってるけれど、曜日感覚が早々と薄れつつあります。徹夜できないとわかっていても仕方がないと徹夜してしまい、頭がふらふらしている中で神戸の元町商店街を歩くと、街頭コンサートがあちこ…

川喜田二郎 『発想法』

中学生か高校生のころに手にとって「おおっ、これはおもしろい」と思った本はなかなかいつの年になって読み返してもおもしろい。あの頃はなにかを「系統だてて読む」とか「分節だけ読む」とかしないで左から右までガガガガーと丸々読んだものです。 基本的に…

柴田元幸 『ナイン・インタビューズ 柴田元幸と9人の作家たち』

村上春樹の「うなぎ」ってなんですかと聞かれた。村上春樹が「うなぎ」について語っているのは、柴田元幸さんの「ナイン・インタビューズ」のなの話。 この本は柴田元幸が関わっているアメリカの作家たちについてのインタビューで、インタビューの模様は録音…

門脇俊介『フッサール 心は世界にどうつながっているのか』

NHK出版の「シリーズ・哲学のエッセンス」から一冊。私はこのシリーズが好きで、講談社からでた「現代思想の冒険者達」なんかよりずっとシンプルで楽しい。あのシリーズは真面目すぎで、いしいひさいちの四コマが一番面白かったよね。 「エッセンス」のほ…

 村上春樹『もしぼくらのことばがウィスキーであったなら』

スコットランドとアイルランドで地元のウィスキーをたらふく飲んできたという村上春樹お得意の旅行記。 ウィスキーの味や出会った人々の印象について文章に上手く表現できれば幸いです、という慎重で慎み深い序文の最後はこんなふうに締めくくられる。 もし…